歯ぎしり・食いしばりとは?

歯ぎしり・食いしばりは、無意識のうちに歯を強く噛みしめたり、擦り合わせたりする習慣的な行為です。医学的には「ブラキシズム」と呼ばれ、主に睡眠中や日中の緊張時に発生します。
この状態が続くと、歯の摩耗や顎関節の痛み、頭痛など様々な口腔トラブルを引き起こす可能性があります。
歯ぎしり・食いしばりの種類
歯ぎしり・食いしばりは、主に以下の3つのタイプに分類されます。
グラインディング(歯ぎしり):上下の歯を強く噛みながら左右にゴリゴリと摩擦させる動きをするタイプ。家族にも気づかれやすい症状です。
クレンチング(かみしめ):上下の歯を無意識に強く押し付けて固定するようなタイプ。音が出ないため、本人も周囲も気づきにくいことが特徴です。
タッピング(歯をカチカチする):上下の歯を「カチカチ」と音をだして鳴らすタイプ。他のタイプに比べて歯や顎へのダメージは比較的小さいです。
歯ぎしり・食いしばりの原因
歯ぎしり・食いしばりの主な原因としては以下が考えられます。
ストレス・不安:日常生活での強いストレスが主な原因とされています。睡眠中に歯ぎしりをすることで、無意識のうちにストレスを解消していると考えられています。
歯並び・噛み合わせの問題:適切に咬合できないと、歯ぎしりの発生リスクが高まる傾向にあります。
睡眠環境の問題:高い枕を使用していたり、合わない枕を使用していたりすると、歯ぎしりが起こりやすくなるといわれています。また、睡眠が浅いことも歯ぎしりの要因の一つです。
集中時の習慣:何かに集中するあまり、無意識のうちに歯を食いしばることがあります。
遺伝的要因:従来から家族や一卵性双生児を対象とした研究により遺伝的な関与が示唆されています。近年、睡眠中の咬筋活動を指標として睡眠時ブラキシズム患者と対照群の遺伝子を解析し、セロトニン2A受容体遺伝子多型とブラキシズムの関連性を見い出した研究があり、遺伝的要因の関与を示唆しています。
薬物・その他の嗜好品:選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の副作用の錐体外路症状として睡眠時ブラキシズムが発生することが示されています。また、疫学調査により、喫煙とブラキシズムとの関連が示されています。
アルコール:アルコール摂取量と睡眠中に記録された咬筋活動持続時間との間に有意な相関が報告されていますが、アルコール常飲者と非常飲者との間に有意差は認められておらず、飲酒と睡眠との関連が示唆されています。
特定の疾患:脳性麻痺などの中枢神経系の障害、睡眠呼吸障害など、様々な因子が関与していることが報告されています。
こんな方におすすめ
以下のような症状がある方は、歯ぎしり・食いしばりの治療をおすすめします。
- 朝起きた時に顎や頬の筋肉が疲れている・痛い
- 歯が徐々に平らになってきている(摩耗している)
- 歯がしみる、知覚過敏がある
- 頭痛や首の痛みが頻繁にある
- 顎関節に違和感や痛みがある(顎関節症)
- 歯が割れたり欠けたりしている
- 詰め物や被せ物が頻繁に外れる
- 口を開けるとカクンカクンと音がする
- 舌の側面にギザギザとした歯型のようなものがついている
- ほっぺたの内側に白い線のようなものがある
放置するとどうなる?
歯ぎしり・食いしばりを放置すると、以下のような症状が悪化する可能性があります。
歯の損傷:歯が摩耗したり割れたりして、歯の寿命が短くなります。
歯の根っこの損傷:強いかみしめにより歯根破折(歯の根っこが割れる)を引き起こし、抜歯が必要になることがあります。
歯周病の悪化:強い力が加わることで、歯を支える顎骨への負荷が増し、骨吸収のプロセスが加速します。
詰め物や被せ物の脱落:長期にわたり強い力がかかると、詰め物や被せ物が取れやすくなったり割れたりします。
顎関節症の発症:顎の関節や筋肉の痛みを感じたり、関節から「カクンカクン」と音が出たりする症状が現れます。
全身への影響:頭部痛、肩のこわばり、上肢のしびれといった多様な身体症状につながる可能性があります。
当院の歯ぎしり・食いしばり治療における特徴

原因を特定する総合的な診断
椿本デンタルクリニックでは、歯ぎしり・食いしばりの根本的な原因を特定するため、以下のような総合的な診断を行います。
- 詳細な問診による生活習慣やストレス要因の確認
- お口の中の状態や歯の摩耗具合の精密検査
- 噛み合わせのバランス診断
- 必要に応じた顎関節のレントゲン撮影
患者様一人ひとりに合わせたカスタマイズ治療
当院では「残せる歯をできるだけ生かす」というモットーのもと、患者様の状態に合わせた最適な治療計画を立案します。歯ぎしり・食いしばりの程度や原因に応じて、以下のような治療法を組み合わせて提案いたします。
- マウスピース(ナイトガード)の作製と調整
- リラクゼーション指導
- マッサージ法の指導
- 噛み合わせの調整
- 必要に応じた他科との連携(睡眠障害がある場合など)
痛みを抑えた安心の診療
当院では痛みを抑えるための設備を整えており、診療中の不安や痛みを最小限に抑えた治療を心がけています。歯ぎしり・食いしばりでお悩みの方も、安心してご相談いただけます。
歯ぎしり・食いしばり治療のメリット
歯の保護と長寿命化
適切な歯ぎしり・食いしばり治療を行うことで、歯の過度な摩耗や破折を防ぎ、ご自身の歯を長く保つことができます。当院が重視する「保存第一の低侵襲の治療」の観点からも、予防的な対応が非常に重要です。
顎関節症状の改善
歯ぎしり・食いしばりの治療により、顎関節への過度な負担が軽減され、顎の痛みや開口障害などの症状が改善されます。日常生活での会話や食事の快適さを取り戻すことができます。
頭痛・肩こりの軽減
歯ぎしり・食いしばりにより緊張した頭頸部の筋肉が原因となる頭痛や肩こりが軽減されます。これにより、日中のパフォーマンスや生活の質が向上します。
睡眠の質の向上
特に睡眠時の歯ぎしりを抑制することで、睡眠の質が向上し、朝の目覚めがすっきりとした状態になります。結果として日中の集中力や活力が増します。
当院の歯ぎしり・食いしばり治療の流れ
初診カウンセリング・検査
患者様のお悩みやご要望をしっかりとお聞きします。当院ではカウンセリングでの「傾聴」を大切にしており、患者様のお気持ちを踏まえた診療方針を立てています。続いて、お口の中の状態や歯の摩耗の程度、噛み合わせのチェック、薬物服用歴や嗜好品の確認などの検査を行います。
診断・治療計画の提案
検査結果をもとに、歯ぎしり・食いしばりの原因と現在の状態について詳しくご説明します。その上で、患者様の状態に最適な治療計画をご提案します。当院では患者様が理解しやすいよう、分かりやすい説明を心がけています。
マウスピース作製
マウスピース(ナイトガード)による治療が必要な場合は、患者様のお口に合わせたオーダーメイドのマウスピースを作製します。歯型を取り、約1~2週間後に完成したマウスピースをお渡しします。
調整・経過観察
マウスピースをお使いいただいた後、装着感や効果を確認し、必要に応じて調整を行います。定期的な通院で経過を観察し、状態の改善を確認していきます。
歯ぎしり・食いしばり対策のセルフケア
筋肉のマッサージ
歯ぎしりや食いしばりによって、かむ動作に関わる筋肉(咬筋・側頭筋)に強い負担がかかります。これらの筋肉をマッサージすることで、こわばった筋肉が緩んで痛みを軽減する効果が期待できます。
咬筋のマッサージ:耳の下あたりの膨らみに指を当て、円を描くようにやさしく揉みほぐします。
側頭筋のマッサージ:こめかみのあたりの、かみしめると膨らむ部分を円を描きながらやさしくマッサージします。
日中の意識づけ
日中の食いしばりに気づいたら、意識的に顎の力を抜く習慣をつけましょう。「上下の歯を少し離す」「舌を上あごに軽くつける」などが効果的です。昼間、目につきやすい場所に目印を貼っておき、それを見たときに上下の歯の位置や咀嚼筋の力を意識するのも良い方法です。
ストレス管理とリラクゼーション
ストレスは歯ぎしり・食いしばりの大きな原因です。適度な運動や深呼吸、入浴など、ご自身に合ったリラックス法を取り入れましょう。また、キシリトール入りガムをゆっくりとかむことで、唾液の分泌が促されるだけでなく、顎や顔面の筋肉を使うことで心をリラックスさせる効果もあります。
就寝前の習慣改善
就寝前のカフェイン摂取や過度のスマートフォン使用を控え、リラックスした状態で眠りにつくことで、睡眠時の歯ぎしりが軽減される場合があります。また、高すぎる枕を避け、首に負担がかからない適切な枕を選ぶことも大切です。
生活習慣の改善
アルコールの摂取量を適度に抑え、禁煙を心がけることで、歯ぎしり・食いしばりのリスクを軽減することができます。また、現在服用中の薬物がある場合は、主治医と相談し、ブラキシズムへの影響について確認することも重要です。